こころもよう

ほぼヒモのフリーター日記

大したことない、あなたでしかない。

六本木ヒルズにふらり。


もともと予定外のことだったから、渾身のおしゃれみたいなのはしてなかった。だから高級な服屋さんに入ったときに場違い感があって、なんだか恥ずかしかった。


いや、渾身のおしゃれをしても、私は何万円もするような高いものを身につけないから、どうしても場違い感はでてしまうのか。


高いものを身に付けていないとなんだか、店員さんに「あなたの来るべき場所じゃないわ」と見られているような気がして、いたたまれなくなってくる。いろんなすてきな服を見てみたいのに。


でもkくんが隣でぼそっと「全部服はがせばなんでもねえのに」と呟いてはっとした。私は一瞬にして脚色された世界から抜け出すことができた。


たしかに、高級な服を全部脱いでしまったらもうその人だけだ。ほんとになんでもない。高級なブランド店の店員も、なんてことのない、みんな、同じ、ひと、でしかない。


高級な服に価値がないと思ってるわけじゃなく、高級な服やバックを持ったからといって、あなた自身の本当の価値が上がるわけじゃない。


まあ正直、周りからの扱いは変わるだろうけど。


私たちは、その飾り立てられたその姿にすぐに騙されてしまう生き物だから。


服やバックだけじゃない。学歴、財力、経歴、権力。


本質ではないと知りながら、その威力に抗うことができない私たち。


それらは私自身なわけではないと知りながら、ときにその力を振りかざして生きていこうとするひとたちの、そして私の醜さ。


人間らしいね。



努力して手に入れたものだから私のだって?


たしかに努力はしたのかもしれない。


でもそこに努力を、意識を向けることができていたのは生まれがたまたまよかっただけなんだよ。生まれついたところがそうだったってだけなんだよ。そうじゃないと始まることすら許されないんだ。


こういうふうに書くと、自分ができないことを生まれのせいにしてきたやつだと思われるかもしれない。


ちなみに私はわりと恵まれて生まれてこれたと思っている。それでもまだ、高望みして羨んでしまうことはあるけれど。


スタートラインにさえ立てない人たちを間近で見てきた。


あなたが思い浮かべる努力とかの、さらにもっと前の段階。努力しなかったからでしょ?じゃない。


たしかに彼らは優れた装飾があるわけじゃない。


でもあなたのような生まれであったら、もしかしたらあなたのように「きれいな」「すごい」人になっていたかもしれない。


いい加減気づけ、同じ大学に通う天狗野郎共。
その振りかざしている力は、自分ではないんだよ。


こんなこと言うと、反感を覚える人もいるだろう。「見せかけのものを取り除いた、素っ裸の自分をみたら本当は大したことなかった」だなんて誰も思いたくないからね。



あ、なんか違う話になってしまった。



とにかく、時々立ちはだかる虚飾に、一喜一憂しなくていいってこと。化けの皮を剥がしちまえば、みんないっしょ。裸ん坊のあかちゃん。刺されると赤い血がでてくる。





あなたは大したことない、あなたでしかない。でもそれが、大したもんだ。




とかなんとかかっこつけて、また明日、学歴っていう上等な服を着て「優れた家庭教師」のように振る舞う予定だ。




人間らしいね。