こころもよう

ほぼヒモのフリーター日記

人間合格

夜の新宿発各駅停車。


向かい側の席、お堅そうな年寄りサラリーマン、ガラケー、ムズカシソウナ本、ハゲぎみ、かっちりした形のバッグ、きっちりスーツ、吐き出せない言葉の数々が刻まれてしまったしわ。


もろに私の顔をじーっと見てきて逸らさないから、私も、人生を舐めきったような顔でおじさんのしょぼい目をじーっと見つめながら、残っていたGODIVAのチョコレートドリンクを音をたてて飲み干してみた。おじさんは何を思ったんだろう。


隣に座ってる若めのサラリーマンはめっちゃ貧乏ゆする。なににそんなにざわついてんだ。


就活は?ってここ一週間でそんなに親しくもない人にめっちゃ聞かれた。ふつうに来年卒業する予定だけどまだ就活してないから、いろいろ聞かれて答えるのがめんどくさい。


大体、そんな知りたいわけじゃないだろうに。今日天気いいねーくらいの会話でしょ?そういう間柄じゃないのに、無駄な会話、いちいちしなくていいじゃないか。そんなんで私の何を測ろうとしているんだい。私がどれくらいの値段なのか知りたい?自分がいくらの人間と交流してるか知りたい?


空虚な間はそのままほっといたらいいのに、無駄な会話で埋めたがる。大して興味もないんだから、聞かなきゃいい。無言でいたらいい。どうしてそんなにしゃべりすぎるんだ。


でも考えてみると一番にめんどくさいのは、この時期に就活しないっていう選択をする自分の方だ。周りはただふつうに、ごくふつうの会話がしたいだけなのに。だけど、私はまだ嘘をついてまでこの無駄な会話をも省略してしまうほど誰かを粗末に扱ってないから人間合格。明日は知らないけど。大学二年生ですって言い出すかもしれない。


別に堀江貴文になりたいわけじゃない。意識が高くて威勢のいい大学生みたいに、これからは個の時代だから会社に入るなんて!サラリーマンなんて!って思ってるわけでもない。私はそれほど強くない。


ただ、私でいたいだけ。嫌いなことをすること、自分を騙し騙し生きることが、人よりできないだけ。だから、私はだめ人間。だめだめの中のだめ子。でもそれでいい、だめでいい。もうこれ以上できません、がんばれません、お手上げです。そういうわけだから、好きに生きていきます。


降りた駅にゴミ箱がないことは想定外で、空のGODIVAカップを持ち帰らなければならなくなった。


体調を整えるために甘いものを控えるってkくんに宣言してたのに。


小さな秘密がばれてしまうなあと、私を甘やかしてくれるおうちに、さあ帰りましょ。